あああああああああ!!全然アイデアが浮かばない!!物語の最初と最後は決まっているのに、その間のお話をどう繋げていくか、何も浮かばない。ぬああああ、誰かネタください!!
アイデアが湧き出るときは源泉かけ流しのごとくジャバジャバ出てくるのに、今は断水状態でぽたりとも落ちてこない。もうどうしたらいいの!も・ん・ぜ・つ!!

ネタ…ネタ…ネタかあ。そう言われると、私は基本的に屋敷の中にいて、外の世界にも自由に触れられない。見聞を広げるためにたくさんの書物を読んできたけれど、実際に体験するということは少ないかもしれない。体験か…そう考えると私って実は何も知らない世間知らずなのでは?!
籠の中の鳥とまではいかなくとも、実際に自分で何かをしてみるってあまりしたことがない。
だって、常に執事やメイドたちが身の回りのことも、なんでもやってくれて…
ハッと何かを思いついたメロレアはノアに顔を向ける。

「ねえ、ノア!ノアは一人で自分の住んでいる国以外の場所へ行ったことはあるの?」
「急にいかがされましたか、お嬢様。」
「質問に答えてほしいの。ノアは、どうして今のノアになったの?」
きょとんとした表情をしたノアが何かを察したかのようにメロレアに優しい笑みを向け、返事をする。

「そうですね。旅は何度かしたことがあります。それが今のわたくしを作る要因となったと言っても過言ではありません。旅は様々な出会いや文化の違いからわたくしの見聞を広げ、自己を成長させるきっかけとなりました。」
その言葉を聞いたメロレアは目をキラキラと輝かせて、確信を持ってこう言った。
「やっぱりそうよね!旅は成長する上で絶対に必要!ノアがいつも完璧で冷静でなんでもこなしちゃうのは旅をしたおかげということもあるのよね!私、旅に出るわ!」
あまりの唐突な言葉にノアは一瞬慌てたが、すぐに冷静さを取り戻し、メロレアに伝える。

「お嬢様、急に旅に出るとはどうされるおつもりなのですか。」
「えっと、行ったことのない国に行こうと思うの!」
ノアの中に不安がじわじわと広がる。
「どの国へ旅行するかお決まりなのでしょうか。日程はいかほどでしょうか。計画はすでに立てられてますか。」
「…ニポマール王国に行こうと思うわ!こことは文化も全然違うでしょうし、刺激がたくさんもらえると思うの!そう、執筆中の物語にもいい影響があると思う!」
(ついでに、オタ活も出来ちゃう!)

「ニポマール王国ですか?!ここからは随分と遠い国ですが…。お嬢様、その旅はお一人で行くわけではありませんよね?」
ノアから優しい表情の中に厳しい目線を向けられて、少したじろいでしまう。
「えっと、一人で行くつもりだけど…。」
「なりません!!」
メロレアの言葉を遮って、ノアが反射的に言葉を紡ぐ。
唐突なノアの言葉にメロレアはびっくりして、目を見開いた。

「お嬢様、旅は確かにお嬢様にとっていい影響ももたらすことと思います。ですが、ここからはとても遠い国、そして文化もかなり違う、しかも今まで一人でお出かけもしたことがないお嬢様が、一人で旅など危険すぎます。」
ノアの言葉はあまりにも正しくて、しかし、あまりにも子供扱いされているようでメロレアは少しカチンときた。
「だから!だからこそ、一人で旅がしたいのよ!今まではみんなのお世話になって、一人では何もできないままここまで来てしまったの。私はもう大人よ。一人の大人として、自分の力で何かをやり遂げたいの。このままじゃ、物語も紡げなくなってしまう…。」

メロレアの本音を聞いたノアは少し困った顔でメロレアを見つめる。
「お嬢様のお気持ちは理解いたしました。ですが、一人で旅に行かれ、旅先でお嬢様に万が一のことがあった際に、わたくしはご主人様になんと申したらいいか。どうか、わたくしも同行させてください。もちろん、お嬢様の自立を妨げるようなことは致しません。ボディガードとして、ただそばにいる。その役目をわたくしに与えてくださいませんか。」

ここでも私の自由は少し狭まってしまうのかと思ってしまう。だけど、ノアの言っていることもわかる。そして何より、何もわからない私が一人で猪突猛進に旅に出るということが、どれだけ周りに不安を与えるかは計り知れない。
私自身は知らないがゆえになんとかなると思ってしまうけれど、そういうことばかりでもないのかもしれない。

「わかった。ノアも一緒に来ていいよ。」
しぶしぶでも了承を得たノアは満面の笑みで、その周りには満開の花畑にいるかのようなオーラが見えた。
「お嬢様!ありがとうございます!では、早速旅の手続きを一緒にしましょう!何なりとお申し付けくださいませ。」

そういえば、飛行機のチケットの取り方さえわからない。やっぱりノアが居てくれたほうが良かったのかもと思いつつ、憧れのニポマール王国でのオタ活が順調にできる確率も下がっていることに、複雑な心情のメロレアだった。

投稿者 たれつゆのTOYBOXまにあ

オータクル国に住む、オタクです。愛と救済をテーマに小説を書いてます。 オタ活、推し活を気兼ねなく思う存分楽しみたいのに、なかなか難しい環境なので、無い知恵を絞りだしてなんとかかんとか。 ゲームと編み物を愛しすぎて中毒症状出てます!大好き!

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